H05宙乗り(義経千本桜)

「義経千本桜」
絵師:豊国〈1〉 判型:大判/錦絵 3枚続の内1枚
出版:文化12年(1815)頃 江戸
資料番号:arcUP4086 所蔵:立命館ARC.

【解説】
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 「宙乗り」は、「宙吊り」ともいう。「フワフワ」と俗称することもある。俳優の体を宙に吊り上げ、舞台の上、または花道・客席の上を移行させて空中を飛行するさまを見せる演出。江戸時代の機構は、簀の子(舞台天井)に「下駄」と称する木製の台車から綱によって「連尺(れんじゃく)」も着込んだ俳優を吊り、下駄をミゾの上で運行して動かした。しかし、これは危険を伴うため改良を重ねて、現在ではワイヤーロープに鉄製の器具が用いられている。
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 宙乗りは狐や妖怪、幽霊などの非現実的なものを演じる際に使われる。本作「義経千本桜」では、幕切れで行われる。ここでの宙乗りは、源九郎狐と呼ばれる狐が神通力で敵を倒した後、親の狐の皮を張った鼓を貰って喜び、飛ぶように去っていくというシーン。神通力や狐といった非現実的なものをこの「宙乗り」で表現することで、より効果的な表現となる。(坂.)
【関連項目】
宙乗り(木幡小平次)
【用語解説】
義経千本桜連尺