H02外連

「劇場図」
絵師:貞伸〈1〉 版型:大判/錦絵
上演:安政年間大阪
資料番号:arcUP0522,0523 所蔵:立命館ARC.

「外連」として紹介されている「早替わり」が左端の上から二段目にある。
〈外連とは〉
定格を外れ、見た目本位の奇抜さを狙った演技や演出をいう。そうした芝居を「けれん物」、演じる役者を「けれん師」といい、邪道として非難された時期もあったが、芝居の流れの必然性から行われる場合には、歌舞伎の演出の一特色ともなっている。初期の若衆歌舞伎時代に見世物芸との提携がなされて以来、元禄歌舞伎をはじめ、いつの時代にも写生的な演技の一方に、この種の演技・演出が行われてきた。「けれん」の誕生は、歌舞伎にとっては「見せる」という大切な要素を受け持つものである。
〈早替わり〉
一人の俳優が同じ場面でいくつかの役を迅速に替わってみせること。短い時間に替わることが眼目であるから、衣裳に帯を縫い付けるなどの工夫がはらわれている。ときには吹替え(代役のこと)を使って効果を挙げる方法もとられる。早替わりの流行した文化・文政期には、早替わりの中心の「お染の七役」「四谷怪談」などが生まれ、変化舞踊も数多く演じられた。近年では上方にこの手法がよく見られている。(坂)