F2-5 能面「深井」. 「深井」 所蔵:立命館ARC 所蔵番号:arcMD05-0003. 【解説】 中年の女、それも年月を経て、経験を多分に踏んだ女を表す面である。名称の由来は不明だが、人生経験の深さ、情愛の深さを指すことから名づけられたという説もある。女面にはそれぞれが年齢の変化を表すという特徴があり、男面と比較すると表情や個性が弱い。深井もその例に漏れないが、額の広さや出っ張り、目尻の下がりや唇の形、そしてもっとも特徴的なこけた頬によって、時代を重ねてきた中年女の姿を現している。 そこから、多くは夫と別れた人妻、子を失った母親、鬼へ落ちる狂女など、狂女物や、何らかの化身として用いられることが多い。いわば境界を越えることを義務付けられた悲劇の女性として用いられることが多い面であり、後シテにおいて般若と化す『黒塚』においては前シテに使用されることが多い。(柴). 続きを読む ≫ 【参考文献】堀上謙 『能面変妖』(朝日新聞社,1992)小林責ほか『能楽大辞典』( 筑摩書房,2012) ≪ 続きを隠す 投稿日:2016年12月 1日 by 8P カテゴリ: F 能,F2 黒塚 [編集]