C2-2 歌舞伎に見る公時の存在.

「沢村源之助」「市川団十郎」

絵師:歌川豊国〈1〉 判型:大判錦絵
上演:文化5年(1808)11月 市村座
所蔵:立命館ARC  所蔵番号:arcUP0059.

【解説】
 源頼光に沢村源之助〈1〉、坂田公時に市川団十郎〈7〉という配役。公時は源頼光にとってただの一人の家臣としてだけでなく、頼光の右腕のような存在であるとうかがえる。この歌舞伎の姿でも公時は朱色の肌であり、この時代にも公時の朱色の肌のイメージは存在していることがわかる。豪快な武勇伝を持つ頼光四天王の中でも公時は江戸の英雄として多くの人を魅了したのである。
 そして頼光にとっても異界の存在と対峙するにあたり、公時の存在がどれだけ必要であったのかが民衆にもわかるように描かれている。話の中で活躍するだけでなく、歌舞伎という舞台空間の中でも坂田公時の持つ人離れした力、肌色が受け入れられ、坂田公時自身が境界の内側である人側として立場を確立しているのである。(宮).