葛城山は天皇と非常に関わり深い土地である。代表的なものとしては『古事記』下つ巻において雄略天皇が一言主と共に狩りを楽しんだ場所であることが挙げられる。能「土蜘蛛」において葛城山が登場するのは『神武紀』に土蜘蛛と称する土着民族を神武天皇が征伐し、その村を葛城と変えたとされる伝承に関連がある。この点より見ると、葛城山は神と天皇を同等とする、あるいは天皇による異民族の排除など、境界の設定に大きな役割を果たしていることが見て取れる。(新)
【参考文献】
西野春雄『能狂言事典』(平凡社,1999)
大隅和雄ほか『日本架空伝承人名事典』(平凡社,2000)
神野志隆光『古事記とはなにか』(講談社,2013)
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