C1.2.35 「仮名手本忠臣蔵 三」「田代安兵へ 実川延三郎」「堀部弥次兵へ 嵐吉三郎」

絵師:一養亭芳瀧
出版:万延元年(1860)
判型:中判錦絵2枚続
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-S0108-01

 万延元年(1860)3月、中の芝居における『仮名手本忠臣蔵』の上演に即して描かれた中判2枚続の作品。この舞台は裏表二十二段で上演され、さまざまな書替え狂言を取り混ぜたものであった。

 本図は、高田馬場復讐の場の一場面を描いている。右に初代実川延三郎の田代安兵衛、左に3代目嵐吉三郎の堀部弥次兵衛を描く。背景には、安兵衛の叔父を殺した浪人を町人たちが追い立てているところが描かれている。

 この場の筋立ては、塩冶家臣堀部弥次兵衛の娘2人が(ぞう)()()(やつ)()()()(じん)でお百度参りをした帰り、悪侍が現れて追い回される。居合わせた浪人田代安兵衛の叔父がかばうが叔父は斬り殺される。駆けつけた安兵衛が叔父の敵討ちをする。安兵衛の働きに感じ入った弥次兵衛は、安兵衛を娘婿に望む、というもの。安兵衛・弥次兵衛は義士の堀部安兵衛・弥兵衛がモデルで、実際の高田馬場の仇討ちを元にしたストーリーであった。

 なお、この上演で延三郎は安兵衛のほか義平・平右衛門など6役を、吉三郎は弥次兵衛のほか由良之助・若狭之助・定九郎など7役を演じている。