3.3.1.11.似顔指導の役者絵本

判型:中本
出版年:文政14年(1817)
資料名:役者似顔早稽古(やくしゃにがおはやげいこ)
資料番号:hayBK03-0802 所蔵:立命館ARC 

 役者絵本の中には、役者の姿を鑑賞するだけでなく、似顔の描き方そのものを学ぶために作られたものもある。本作品『役者似顔早稽古』は、文化14年(1817)に刊行された作品で、初代歌川豊国による役者似顔の指南書である。

 本作は、一般の人々が役者似顔をまねて描き、楽しむことを想定して作られた。冒頭には「役者似顔画法」として顔の描き方が示されており、鼻・口・目・眉といった各部分を描く順序が説明されている。さらに、顔だけでなく、鬘や全身像、衣紋の描き方にも触れられている。全身を描く際には、まず下絵として身体の形をとらえ、その上に衣服を重ねる方法が示されており、単なる役者の図像集ではなく、実際に描くための手引書として構成されていることがわかる。

 その後には、23名の役者の半身像が似顔で掲載されている。つまり本作では、役者の顔を見るだけでなく、どの特徴をとらえればその役者らしく見えるのかを学ぶことができる。役者似顔は鑑賞の対象であると同時に、模写し、描き方を身につける対象でもあった。

 また、本作は売れ行きがよく、注文に応じて一部の似顔を別の役者に差し替えた版も刊行された。こうした改変が行われたことから、役者似顔を描くための本が一時的なものではなく、継続的な需要をもつ商品であったことがうかがえる。(宮﨑・戸塚)

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