3.3.1.9.似顔による役者絵本
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判型:大本3冊(複製本)
出版年:明和7年(1770)
資料名:絵本舞台扇(えほんぶたいおおぎ)
資料番号:hayBK01-0065-02 所蔵:立命館ARC役者絵・役者絵本の展開において大きな転機となったのが、役者の顔を「似顔」として描く表現の登場である。『絵本舞台扇』は、明和7年(1770)に勝川春章と一筆斎文調によって制作され、版元雁金屋伊兵衛から錦絵摺で刊行された大本三冊の役者絵本であり、似顔による役者絵本の端緒となった作品である。
元禄期以来、役者絵は鳥居派の絵師たちによって数多く描かれていたが、その表現は役柄に応じた様式を重視したもので、役者名や紋を見なければ人物を判別しにくい場合もあった。これに対し本作では、扇形の枠の中に役者の半身像を配し、それぞれの顔立ちや特徴を捉えた似顔で描くことが試みられている。「書き入れを読まなくても絵を見れば役者が誰なのかわかる」という表現は大きな人気を集め、当時一千部を売り上げ、再版も刊行された。
本作によって確立された役者似顔絵は、その後の役者絵の基本となった。以後、役者の顔を似顔で描くことは当然のものとして受け入れられるようになり、草双紙の挿絵においても役者似顔で描かれた作品が登場するようになった。(宮﨑・戸塚)
