3.1.2.1.江戸の劇場前

絵師:広重〈1〉
判型:大判/錦絵
出版:天保13(1842)頃 
作品名:東都名所 芝居町繁栄之図
資料番号:arcUP2734 所蔵:立命館ARC。

 江戸時代、幕府から歌舞伎興行を許可された劇場は限られており、江戸では中村座・市村座・森田座のいわゆる「江戸三座」のみであった。これらの劇場が集まる猿若町は「芝居町」と呼ばれ、芝居茶屋や土産物屋なども軒を連ね、多くの人々で賑わっていた。
 本図には、その芝居町の様子が活気豊かに描かれている。劇場屋根の上には、興行の許可を示す櫓が掲げられ、座紋を染め抜いた櫓幕が張られている。さらに劇場正面には、上演中の演目名を記した看板や、主要な役者・配役を描いた絵看板、人気役者の名を大書した幟など、多様な宣伝媒体が所狭しと並ぶ。これらは、現在の映画館に並ぶポスターやデジタルサイネージのように、道行く人々の目を引きつけ、劇場へと誘う視覚メディアとして機能していた。
また、画面には料理を運ぶ人、呼び込みをする人、芝居茶屋の二階から通りを眺める人々なども描かれ、劇場前が単なる入口ではなく、芝居の熱気を街全体へ広げる空間であったことがうかがえる。(宮﨑・戸塚)

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