E 安土城
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長篠・設楽原の戦いに勝利した織田信長は1576年に琵琶湖湖畔の標高約199mの安土山に、天下統一の拠点としての城、安土城を築き始めた。安土は、京都から北陸、東海方面へ向かう街道の要所にあり、琵琶湖の水運も利用できる便利な場所であった。築城工事は1576年に開始され、3年後の1579年に、ようやく全体が完成した。安土城は中心部の城壁をすべて石垣とし、五重の天守を建て、本丸内に豪華な御殿を建て並べており、後の近世城郭の先駆となった最新鋭の城郭であった。本能寺の変後、誰もいない安土城は放火により天守と本丸が焼失し、残った建物は、1585年に秀吉が近所に建てた新しい城に移築され、築城からおよそ10年で、安土城は廃城となった。現在は天守台や主要な曲輪の石垣を残すのみとなっている。
日本建築の特徴として中央に心柱が建てられるのが一般的だが、安土城の天守には中央に礎石がない。大手門からは幅6mの道が一直線に伸びており、とても珍しい構造になっている。城内には寺院があり堂塔伽藍を備えた大規模なものであることや天守内に宝塔があったことから安土城は宗教色の強い城であったことがわかる。