「大成期(南北朝時代~室町時代初期)」の版間の差分
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2025年5月7日 (水) 09:00時点における最新版
総合
能の「大成期」と通常言われるのは、十四世紀から十五世紀前半にかけて、能が上層武士階級に受け入れられるようになった時期を指して、主に能楽研究者が用いる言葉である。
能が数百年の歴史の中で様々なものを取り入れ、多層的になり、それが現在も続いていることをふまえれば、厳密な意味で「大成」と呼べるような事象はないことになる。しかし、十四世紀後半から十五世紀前半にかけての時期は、有力武士が能を鑑賞し楽しむようになった時期であり、京都周辺の広場で勧進(寺社等への寄付)の目的を持って能が興行されるようにもなる。とくに
上層階級が能を楽しむようになって、能自体の性格・性質も変化する。それ以前は、信仰を支える内容、たとえば修行僧による悪霊退治・
その変質は、
また、たとえば《
このような内容上・演出上の特徴を持つ曲は、現在でも多く継承されており、それ以前に作られた曲は、ほとんどが
このように、当時は、能が上層階級に受け入れられていった能の歴史上の大きな転機に当たる。しかも現在受け継がれる能は、当時の影響を大きく受けているため、能が大成された時期という意味で、当時を特別に「大成期」と呼ぶことが行われているのである。
したがって、能のいわゆる芸術化に大きくかかわる人物が、「大成期」の代表的な作者・演者だと言うことができるだろう。そのような人物には、南北朝時代の田楽の
なお、ここに挙げたような、能の大成に大きく関わった人物を、「能の大成者」と呼ぶことがある。