御輿振

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みこしぶり


画題

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解説

東洋画題綜覧

平家物語』の一節、白河院をして『加茂川の水、双六の賽、山法師これぞ我心にかなはぬもの』と嘆ぜさせ給うた山法師比叡山延暦寺の僧である、延暦寺は皇室の尊崇も篤く財力も豊かであつたので僧兵を養ひ、意に満たぬものあれば山上鎮座の日吉山王の神輿を奉じ京洛を荒し廻つた、国司加賀守師高が之をたしなめやうとして却つて騒乱を招き、山法師ども師高を流罪にせよと奏問し、御裁許がないので京へ押寄せる、平家では重盛、源氏では頼政これが防禦を承つたが、頼政の機転で源氏とは戦はず、待賢門から入らうとしてここに騒乱が始まる、『平家物語』には

さて神輿を先立てまゐらせて、東の陣頭待賢門より入れ奉らんとしければ、狼藉忽ち出来て、武土ども散々に射奉る、十禅師の御輿にも矢どもあまた射立たり、神人宮仕射殺され衆徒多く疵を被り、をめき叫ぶ声は梵天までも聞え、堅牢地神も被驚らんとぞ覚えける、大衆神輿をば陣頭に振棄て奉り泣く/\本山にぞ帰り上る

と記してゐる、これを画いたものに前田青邨の作(第六回初期文展出品)がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)