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とう


画題

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解説

東洋画題綜覧

塔は仏教建築中主要なもので、その種類極めて多いが、その起原は印度に発し、仏舎利を蔵するために建てたものといふ、日本に於ける塔ももとは印度に倣つたものであるが、奈良朝時代に蘇我馬子が仏舎利を納めるために上野丘に宝塔を築いてから幾多の種類が出来て、伽藍建築の主要物となつてゐた、平安朝以降はやや装飾的意義も加はつ来たやうである、種類の一は多宝塔で、塔には二重三重、五重、七重、九重、十三重等があり、多宝塔は二重で、下は方形、上は円形を為す、この外、宝塔宝篋印塔、無縫塔、相輪橖などがある、五重塔では、奈良東大寺の五重塔最も大きく、高さ三十二丈余と云ひ、元興寺の塔は二十四丈、京都の教王護国寺、奈良の興福寺、高野山の金剛峰寺の塔は十六丈といふも、教王護国寺の如きは十八丈八尺に達し、大和の法隆寺、薬師寺、京都の八坂、東京の浅草寺の塔は十二丈と称する、この外五重塔の有名なものには仁和寺、醍醐三宝院、室生寺、百済寺、瑠璃光寺のものなどがあり三重塔では岩船寺、浮瑠璃寺、薬師寺、当麻寺三井寺の如きあり多宝塔では京都宝塔寺、知恩寺、高野山大伝法院、金剛三昧院などのもの聞え、十三重塔には大和の談山神社のそれが有名である。

山水画、建築画等に塔の画かるゝもの枚挙に遑もなくそれ/゙\に美しい景観を呈してゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)