人類の文化活動の所産である文化財は、有形・無形問わず多様であり、多くの人々の手によって作られ、守られ、伝えられてきた。本拠点が推進している日本文化にかかわる文化財のデジタルアーカイブ化とデータベース構築は、最新の技術を駆使した文化財保護事業の先駆けであり、現在多くの機関が同様の活動を行っている。しかし、デジタル技術を用いた文化財保護・継承が隆盛となっている中で、逆に現在も昔ながらの技術を用い、アナログにこだわって、文化財を保護・継承している伝承者が数多く存在する。
本シンポジウムは、文化を継承する人間を含めたすべての事象を「文化財」として捉える。そして、デジタルとアナログ技術に携わる現在活動中の文化の作り手、担い手、伝い手たちを一堂に招き、それぞれの立場から文化財の現状をお話し頂きながら、文化財保護・継承にまつわる問題点を引き出し、デジタルとアナログが共存していくためにどのような方策を取っていくべきかを検討しながら議論することを目的とする。