名工柿右衛門

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めいこうかきえもん


総合


歌舞伎

戯曲、二幕。榎本虎彦作。明海四十五年(1912)十一世片岡仁左衛門初演。 肥前伊万里の陶工柿右衛門は、十五年来赤絵の製法に没頭している。柿右衛門と結んで巨利をえた陶商五兵衛は、自分の伜平三郎を武家と結婚させようとし、許嫁の柿右衛門の娘おつうとの仲をさく。彼女は悲しみのあまり死をえらぶ。それから三月苦心の末ついに赤絵の製作に成功した柿右衛門は、娘の命と彼の苦心の凝結した皿を高くかかげて大声に泣くのであった。 初演の仁左衛門は、一徹な名人気質がぴったりとはまり好評であった。近代的な構成と心理性格の秀れた描写で、虎彦の最高作といわれる。ほかに六世尾上菊五郎のために改作した宇野信夫のものがある。