B5.2 東京の大立者を描く.

作品名:「小車太夫 片岡我当」「左り甚五郎 尾上菊五郎」
絵師:未詳
判型:大判錦絵(横)
出版:明治26年(1893) 村尾喜祐
所蔵:立命館ARC(arcUP8110)

芳滝が役者絵から手をひき、明治10年代以降になると上方役者絵は、二代貞信の独壇場となる。歌舞伎界も上方歌舞伎は停滞期に入って、活気を失ない始め、明治20年代から30年代にかけては凋落が著しい。興行ごとに売出される役者絵も最早その魅力を失ってしまう。しかし、何人かの無名の絵師が生れているようである。本作品も絵師は未詳ながら、中村鴈治郞のライバルであった三代目片岡我当と東京の大スター五代目尾上菊五郎を組み合わせて描いたものである。菊五郎は、明治25年3月に、角座に出演しているが、左甚五郎での出演記録は見当らない。(a)