A1.1 国芳画「妻鹿孫三郎長宗」、芳幾画「春遊源氏迺活花」 板木(主板)

作品名:国芳画「妻鹿孫三郎長宗」、芳幾画「春遊源氏迺活花」 板木(主板)
判型:大判錦絵
出版:弘化4~嘉永5年頃(1847~1852)、文久2年(1862) 藤岡屋慶次郎板
所蔵:立命館ARC(arcMD01-0659)

錦絵の板木は、国立歴史民俗博物館やボストン美術館にまとまったコレクションが現存されているが、出版された錦絵の量に比して、その伝存は極めて稀であると言わざるを得ない。アート・リサーチセンターは3点の板木を所蔵しており、展示品はそのうちの1枚である。
国芳作品は3枚続「六波羅坂東寺合戦」の3枚目、芳幾作品は3枚続「春遊源氏迺活花」の1枚目の板木である。国芳作品の成立は弘化4年~嘉永5年頃(1847~1852)、芳幾作品の成立は文久2年(1862)11月のため、芳幾作品が国芳作品の主板(おもはん、絵の輪郭線を描いたキーブロック)の裏側を利用したことがうかがわれる。
一度彫り上がった板木の内容を修訂する方法として入木が知られているが、入木とは別に、絵の描線や文字の一部、匡郭や罫線の欠損を修訂する技法に挿木(さしき)がある。挿木は、楔形の木片を打ち込んだ後、版面と同じ高さで切って彫り整えることにより、板木の欠刻を修復する。板木の国芳作品の板木には、挿木によって描線を修訂した痕跡を数ヶ所に確認できる。

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