B5-4 白拍子としての静御前 「古今名婦伝」「静御前」絵師:歌川豊国〈3〉 判型:大判錦絵出版:未詳所蔵:国立国会図書館 作品番号:寄別2-7-1-4-00.065裏. 【解説】浮世絵版画「古今名婦伝」のうちの一つ。静御前が源義経の寵愛を受けた人物であったこと、また鎌倉にて源頼朝に舞を披露したことが記されており、白い水干に烏帽子という、白拍子の姿で舞う静御前が描かれている。静御前は白拍子の起源とされている磯禅師の娘であると言われている。京都市内に位置する神泉苑の雨乞において雨を降らせることに成功するなど、彼女自身も舞の名手として名高かった。源頼朝もまた静の舞を求めた人物の一人である。源義経と別れた静御前は、捕らえられ都に送られたのち、鎌倉に護送されることとなる。頼朝は鶴ヶ丘八幡宮参詣の折、静に舞を奉納するよう命じた。静は固辞するも許されず、神前にて舞を披露することとなった。白拍子の声は不吉なもの、亡国の音として捉えられていたとも言われており、物語上でも哀れな存在として描かれることが少なくない。その舞の素晴らしさを理由に、愛する義経の仇である頼朝の前で舞を披露しなければならなかった静御前の生涯もまた、物語のなかで悲劇的に描かれることが多い。その悲しみに満ちた物語が共感を呼び、後世にまで語り継がれることになったとも考えられる。 (川) 続きを読む ≫ 【翻刻】静御前花洛の白拍子奈利義経殿尓深く想八連計留可゛判官殿鎌倉の討手嚴志く落玉ふ時吉野爾て名残を惜しみ皇都尓止ま連利其後鎌倉へ召下さ連右幕下殿の御前爾て舞を奈せし名誉のこと八世の人野知る處奈り亦静可゛心越想像天燈者徒喜手加比奈之雪能道柳亭梅彦記【参考文献】島津久基『義経伝説と文学』大学堂書店 1935年小林直弥「"舞"の精神論:その意味と価値」日本大学『日本大学芸術学部紀要』第37号 2003年 ≪ 続きを隠す 投稿日:2017年12月 2日 by 8P カテゴリ: B 源平合戦の女たち,B5 静御前 [編集]