B1-5 二人の雷電

右図作品名:東ノ方   下図作品名:西の方
絵師 :勝川春英
版型 :大判錦絵
年代 :寛政初期
所蔵 :ベルギー王立美術館
資料no:JP01641     JP01645

二人の雷電。寛政2年11月に雷電為右衛門が関脇で初登場するが、同じ頃雷電灘之助が江戸に登場した。雷電為右衛門は雲州の抱えであるが、雷電灘之助は播州姫路藩のお抱えであった。両者は何度か対戦しているが、小島貞二コレクションでは寛政5年10月の番付に両者の名前を見ることができる。右図は春英描く東方幕内力士群像である。後方に腕を組んで屹立しているのが播州力士雷電灘之助である。下図は同じ春英による西方幕内力士で最後尾が雷電為右衛門である。どのように呼出し、行司が名乗りをあげたのか興味が尽きない。力士のキャリアは灘之助の方が長かったが強みは為右衛門の方があり、3回の対戦成績は為右衛門の1勝1預1無勝負であった。寛政6年3月に灘之助は姫路所縁の手柄山に改名する。