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A 勧進大相撲前史
小島コレクションの江戸勧進相撲の番付、宝暦7年(1757)10月場所から慶応4年5月場所までの翻刻が終了しました。途中抜けている番付がいくつかありますが、寛政期後半からはほぼ網羅しています。上位力士だけでなく番付に登場した行司を含むすべての人名を翻刻しています。状態が悪く、摺が不鮮明であったりして解読不能な字も多々ありますが、解読率は97%以上はあるのではないかと自負しています。重複している番付は、基本的に状態の良い方を翻刻しています。先祖に相撲取りがいた、という方は調べてみると名前が見つかるかもしれません。また、郷土史研究にも参考になると思います。翻刻間違いなどご指摘いただけると幸いです。X相撲資料DBの小島コレクション番付DBからお入りください。https://www.dh-jac.net/db1/ban/search_kojima.php
小島貞二コレクションの稀書中の稀書である『相撲起顕』全10冊の翻刻が完了しました。安永3年(1774)から嘉永6年(1853)までの江戸本場所の相撲番付と勝負附が掲載されている江戸相撲研究における基本書です。番付は上は大関から下は序の口まで凡ての登場力士を網羅し、勝負附は本場所の取組の勝ち負けが凡て記載されています。番付の翻刻は番付データベースと対照しながら翻刻しており、異同がある場合は番付データベースを優先しています。お気づきの点がありましたらご連絡ください。
小島貞二コレクションpresents相撲番付と『武江年表』から見る勧進大相撲史
江戸時代の相撲、勧進大相撲の歴史を相撲評論家・歴史家であった小島貞二のコレクションした当時の相撲番付と、江戸時代の出来事を編年体で著した斎藤月岑著『武江年表』の二つを参照しながら辿ってみたいと思います。題して「小島貞二コレクションpresents 相撲番付と『武江年表』から見る勧進大相撲史」。
勧進相撲は芝居・吉原と並んで江戸三幅対と称され、江戸の人々を熱狂させました。その相撲についての出来事を江戸時代の市井の出来事を事細かく書き記した希代の歴史書『武江年表』の記事でたどり、その時の相撲番付と浮世絵・史料で浮き彫りにします。相撲興行が提供したさまざまな噂話のネタに江戸の人々がどのような反応を示したのか、その一端でもご理解いただけると幸いです。
相撲番付を提供する小島貞二コレクションは、相撲評論家であり相撲史家として著名であった小島貞二氏(1919~2003)が長い年月をかけて集めた古番付を立命館大学のアートリサーチセンターが委託を受けて写真を撮りデジタルデータベース化を行ったものです。寛保2年(1742)から平成18年(2006)までの264年間の相撲番付、約1000枚をアーカイブしています。その間の相撲興行すべてを網羅しているわけではありませんがほぼカバーしている個人としては稀なコレクションです。今回の展示では膨大な相撲番付の中から大相撲の歴史に残る名力士、名場面、名勝負、事件等に関わる番付をほんの少しですがご紹介いたします。
『武江年表』は江戸後期から明治にかけて活躍した著述家斉藤月岑による編年体の書籍です。江戸の町で起こったさまざまな事件や出来事、話題、風俗を他の書籍などを引用しながら古い順に書き記してあります。正編8巻は天正18年(1590)から嘉永元年(1848)まで、続編4巻は嘉永2年(1849)から明治6年(1873)までの記事を収めています。特に地震洪水などの災害、火事、疫病などの記事、芝居相撲、見世物、開帳などの興行、有名人文人墨客などの死亡記事などは詳細に著され、江戸時代研究には必携の書籍です。今回は金子光晴校訂による東洋文庫版の『武江年表』を参照しています。