D2-1 『絵本勲功草』

資料名 : 『絵本勲功草』
作者 : 山崎知雄(作) 、喜多武清(画)
員数・装丁・判型 : 大本五冊
年代 : 天保10年(1839)
資料番号 : arcBK01-0065-02

 藤原保昌(平保昌)は四天王とともに源頼光の数々の討伐で活躍し、ひときわすぐれて強い武士「独り武者」と解釈されることがある。武勇に秀でる一方で和歌の才も備え、妻・和泉式部とのエピソードは、祇園祭の保昌山などで今日も知られている。
 保昌の武勇譚として多くのメディアで今日も伝えられるものに袴垂保輔との逸話がある(『今昔物語』・『宇治拾遺物語』)。盗賊の首領・袴垂保輔(藤原保輔)が衣服を奪おうと夜の洛中を徘徊していたところ、狩衣姿で笛を吹きながら歩いている藤原保昌(平井保昌)に行き会った。袴垂は襲い掛かろうとするが、泰然とした保昌の雰囲気に圧倒され手が出せなかったという。その後保昌は保輔を屋敷に引き連れ、衣を保輔に与え、「着物が必要になったまた来なさい。盗みなんかして罪を犯すな。」と諭したという。この話は後世、歌舞伎「市原野のだんまり」となり人気を博し、また、同場面を題材とした、月岡芳年(1839~1892)による「藤原保昌月下弄笛図」も芳年の代表作としても名高い。
 本作は国学者・山崎知雄(1798~1861)と画家・喜多武清(1776~1857)による武者絵本で、藤原保昌のエピソードも巻一・中の巻頭で紹介される。袴垂に対して鷹揚に構える保昌の姿が文と絵で表現され、その非凡さが讃えられている。(I)

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