-
当文庫には、歴史または伝記に関する冊子は49点であり、これらは全てが写本である。また、3種類の叢書があるが、それらのなかには、歴史に関するするものが33点含まれている。本章では、それらの中から幕末期のものであって、馴染みのある事件を取り上げることにする。これらについて概要を説明するとともに、それらの画像の一部を示す。
冊子からは、3点を選んだ。「水乱記」は、大老井伊直弼が殺害された「桜田門外の変」に関するものであり、「涙襟録」は、尊皇攘夷を唱えて旗揚げした「水戸天狗党」についてである。「京都見聞雑記」は、幕末で変化の大きかった、文久3(1863)年の京都の様子について書かれている。これらの他、幕末期のものとして、『文天弘嘉録』(nakai0654)、『安政録』(nakai0673)、『長防御征伐御共節諸事』(nakai1323)、『上野戦況書』(nakai1324)等がある。 叢書は3種類であり、これらも全て写本である。『水哉叢書』(nakai0634~0646)は、全部で20冊であるが、最終は七十二巻とあり途中が欠けている。そのうち15冊が歴史に関するものであるが、 幕末に関するものはない。なお、1冊に複数のことが書かれているもの、複数冊に一つのことが書かれているものがあるので、冊数と点数が一致しない。
『野辺の摘草』(nakai0689~0702)は、全14冊であるが、題簽には「拾五巻の内」と書かれており第九巻が欠けている。14冊のうち10冊は歴史に関するもので、そのうち6冊は幕末に関するものである。そのなかで、「嘉永六丑年夏異船聞書」を選んだ。これには幕末期に世間を騒がせた、黒船の来航について書かれている。
『乾坤叢書』は、26冊であるが、最終が第四十六となっているので、全体の巻数をつかむのは難しい。さまざまなジャンルのものが含まれているが、歴史に関するものはここに示す『信州地震』の他1冊のみである。
1.0 はじめに