新しい市民の足 地下鉄烏丸線(169-1)

文字「京都ニュース 新しい市民の足 地下鉄烏丸線 京都市広報課」 新しい市民の足、待望の地下鉄烏丸線が完成。昭和56年5月28日、全国で7番目、6年6か月の歳月と総工費1300億円をかけて完成した京都の地下鉄。千年の都の地下を南北へ貫く交通の大動脈誕生の瞬間です。「地下鉄の開通が都市活動の導火線となり、将来の京都の発展に大きく役立つものと確信している」今川正彦京都市長職務代理者が挨拶。思えば明治28年2月、全国に先駆けて京都にチンチン電車がお目見え。京都駅から伏見油掛までの6kmを時速9.6キロで走り、電車時代の幕を開けました。昭和3年5月には市バス事業もスタート。以来市電と市バスは市民の足として大活躍。しかし年々交通事情が悪化し、総合的な交通体系の確立が重要な課題となってきました。地下鉄はその切り札。昭和49年11月、地下鉄烏丸線の起工式が行われました。地鎮祭で鍬入れをする舩橋市長。そして重点整備区間の北大路~京都駅間 6.6キロの工事が急ピッチで進められました。沿線住民の生活を守り、埋もれた遺跡に気を使いながらの難工事。オイルショックによる経済情勢の悪化なども乗り越えて、工事は進みます。昭和55年3月、多くの人々が注目する中で行われた車両の搬入作業。45tのクレーン2基によって、すっぽりと地下に収められました。搬入された車両は点検を受けて試運転を開始。舩橋市長もさっそく試乗。静かで乗り心地のよい地下鉄に満足げです。開通まではもう少し、念入りな試運転が繰り返されます。11月には京都駅前『ポルタ』が一足先にオープン。京都の新しい顔として人気を集めています。昭和56年 5月29日、待ちに待った地下鉄烏丸線開業。「是非初乗りを体験しよう」と徹夜組も含めおよそ1000人の人たちが一番列車に乗り込みました。午前5時30分、出発進行。関西で初めてという、交通局ご自慢の前頭傾斜型のスマートな車両。京都の街の地下を颯爽と走り抜けて行きます。北大路~京都駅間をわずか13分で結ぶ新しい市民の足。 輝かしい第一歩がここに踏み出されました。 乗客の安全と列車の確実な運行を図るため、総合指令所で集中管理。ここはまさに地下鉄の心臓部です。地下鉄の魅力は何よりも快適で時間が正確なこと。朝夕のラッシュ時は5分から6分、昼間でも6、7分間隔で運行します。午前5時半から午後11時半まで、上下300本を運転。1日およそ15万人の乗客を目的地へ。まさにこれからの都市交通の主役にふさわしい活躍ぶりです。周りの景観と見事に調和した出入口。 いたるところに京都らしい創意と工夫が凝らされています。普通券や定期券のほか、 回数券が自動化というのも全国で初めての試みです。全ての駅にはエスカレーター、 そして主な4つの駅には、体の不自由な方やお年寄りのためのエレベーターも設置しています。車内には車椅子用のスペースも設けられており、福祉面を重視した設計。 洒落たパリ風の御池ギャラリー。京都の文化芸術産業などを常設展示しています。今後地下鉄は南へ北へ、そして東西にも伸びる計画。京都市では21世紀に向けて総合的な交通体系を確立させていきます。