京人形(51-3)

「京都ニュース 京人形 KYOTO NEWS」古くから伝わる京人形。それは御所人形・衣装人形・節句人形・賀茂人形・嵯峨人形と多くの種類を数え、中でも御所人形は人形美の極致として、我が国の人形の王座を占めている。美術的な作品の場合は、桐材を用いそれに胡粉を塗って磨きをかけ、目鼻を描く。大量生産される京人形のかしらは、桐のおがくずを生麩糊(※ニュース内では「なまふのり」と発音)で練り合わせ、粘土のようになったところで、かしらの型に押し入れ、2つ合わせるとかしらの生地が出来上がる。出来上がった生地に、にかわで溶いた胡粉を塗り上げる。さらに、全体に何度も胡粉を塗りこんで乾かし、小刀で目鼻や口を形づける。これが人形師の腕の見せ所。89歳というこの老人形師の手先には、美への若々しい情熱が込められている。顔を描き入れると、これに十分磨きをかけ、髪付師にまわす。衣装人形の髪付を終わったかしら。京都で作られるそれには、自ずと優雅な感じが滲み出ている。京都の典型的なかしら。次に、いよいよ着付けに回される。着付師は、そのかしらに合わせて桐の胴をこしらえて、手足を付ける。これらの風俗衣装には、絶えず厳しい時代考証が払われている。体の線1つに着付師の生命が懸けられている。これらの人形師は、既に20年の歳月を人形一筋に打ち込んだ人々がほとんどである。今にも生きて歩き出すかと思われるような、これらの京人形は、こうした人たちの努力によって生み出され、国内はもとより外国にも得難い土産としてもてはやされている。