京扇子(50-5)

「京都ニュース 京扇子 KYOTO NEWS」竹は、古くから日本独特の工芸品としてわたくしたちの生活の中に生きている。その一つ、扇子は、万葉の昔から連綿とその技術が伝えられ、丹波の国のトヨマルという人が初めて末広の扇を作り、天智天皇に奉ったと言われている。扇子の骨は竹がほとんどで、特に山城丹波の真竹が適している。輪切りにされた竹を、小刀と槌を巧みに使って割り揃え、さらに薄く削る。次に、要穴が開けられた後、あてつけにまわる。扇の骨を作るのに一番重要なこの作業は、高い技術を必要とする。数十本をあてつけ台の上で側面から、独特の鑿と包丁で仕上げていく。さらに、これに磨きをかけ、屋外で日光にさらす。京都の扇骨師は、東山山麓に多く集まり、こうした風景は豊国(※ニュース内では「ほうこく」と発音)神社、博物館前、今熊野あたりによく見受けられる。この後、要打ちなど数々の工程を通り、扇の骨が出来上がる。地紙は、土佐で特別に漉いた上質和紙が用いられる。普通、扇子の地紙は、芯紙の両面に皮紙を貼り合わせて作られる。これは地紙の中心に骨を差し込むため、長い経験から考え出されたものである。現在、この作業を機械化したのがこれで、芯紙を中心に皮紙が自動的に合わされ、日本に1台しかないというもの。地紙が出来上がると、絵付けにかかる。絵付けには、型刷り込み、刷毛引き、版画による絵付けなどいろいろあるが、やはり新しい感覚を取り入れたものが一般に喜ばれている。絵付けされた地紙は、織屋に運ばれ、最初は地紙に骨を差し込む隙間を空ける。織りは、湿りをつけた地紙に型紙を当てて畳み、折り目をつける。次に骨の差込口を作る。さて、いよいよ最後の仕上げは、仕立て屋の仕事である。地紙の穴を口で吹いて骨を差しやすくし、糊付けされた骨を手早く差し込んでいく。さらに、親骨に熱を加え、形良く仕上げる。この仕事は、扇子作りの中でも熟練を要すると言われ、続いて親骨を糊付けし、帯を付ければ扇子が出来上がる。こうして作られた京扇子は、夏扇子、舞扇、祝扇、ヤカイ扇など種類も多く、単なる工芸品としてだけでなく、伝統産業として全国の60%を生産。国内にも多く移出されている。