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「京都ニュース 年末ご用心 ―まちを明るく」
慌ただしい師走の足音がメインストリートに流れて、1959年も一足ごとに暮れていきます。雑誌の新年号に歩調を合わせて、12月の初めから早くも初詣の宣伝。豪華な羽子板の顔見せも5000円クラスとあっては素通りもやむを得ません。腕によりをかけたクリスマスデコレーションにつられて、デパートは人の波。旦那様から巻き上げたボーナスを手に特売場は身動きのできない混雑ぶりです。レジスターが焼けるほど動くお金を目当てに、暮れのデパートはスリの書き入れ時です。これでは、盗ってくれと言わんばかり。警察の予想では今年の暮れは、スリの被害が戦後最高とのこと。われらの自家用車自転車は、動かすのも簡単なら盗むのも簡単。自転車泥棒には高級な技術はいりません。鍵をかけない自転車やスクーターは絶好の獲物です。かつては、暴力ポン引きの巣と言われたどんぐり橋は、水銀灯といかめしい投光器が輝いてすっかり明るくなり、観光京都の癌がラジウムならぬ電灯で手術できました。また、どんぐり橋のすぐ東に松原署の警備詰め所が設けられ、特別任務のお巡りさんがこの辺り一帯を警戒、暴力の取り締まりにあたっています。暮れの街々は大虎小虎の氾濫。もうこうなっては手の施しようがありません。せっかくのお土産もご覧の通り。酔っ払い、毒です恥ですお父さん。お巡りさんに余計な手数をかけるのは程々にしたいもの。酔っ払いと並んで、犯罪も連日の新聞を賑わしています。一日中泣いたり笑ったりした観客を送り出すと、後は人っ子一人いない映画館。ヘルメットと警棒に身を固めた夜警さんが、ヤング映画そこのけの自衛ぶりです。ここは犯罪取り締まりの総元締め、京都府警察本部。出発前の訓示を受けるのは、捜査第三課員によって組織されているふくろう部隊です。普通の自家用車と一見変わりない覆面パトカーで出動。車で、あるいは徒歩で市内の繁華街を警ら。暴力専門で取り締まりに力を注いでいます。黒と白のツートンカラー、警察の花形パトロールカーは動く交番として昼も夜も走り続けています。110番はあなたを守るダイヤルです。この寒空に、もし火の不始末で火事を出せばどうでしょう。自分だけでなく、他の多くの人々にも迷惑をかけることになり、せっかくのお正月も台無しです。消防職員は、人々の寝静まった深夜も休むことなく、火の守りについています。わたくしたちが安らかな眠りについた後も、警察は犯罪から、消防は火災から、市民を守るための努力が絶え間なく続けられています。
年末ご用心 ―まちを明るく(48-5)