走る図書館(45-4)

「京都ニュース 走る図書館」
秋の訪れとともに、活気を呈するのが街の本屋さん。立ち読みで読書の秋を満喫するちゃっかり組もあります。図書館はもちろん満員。ここは受験勉強に憂き身をやつす真面目な若人たちが大部分で、ページを追う目も真剣です。一方、街の図書館、貸本屋さんも安い料金で手軽に借りられるというので大繁盛。隠れたベストセラーもここから生まれます。週刊誌ブームに乗って、通勤のポケットやカバンの中には必ず一冊。寸暇を惜しんで読みふけり、思わず乗り越してしまう人もあるようです。さて、周辺部の娯楽に恵まれない人達のために走り続けるのが、教育委員会の青い鳥です。走る図書館として、車の中におよそ800冊の本や人形劇を積んで、すっかり秋の装いに包まれた山あいの町々を訪れます。待ちに待った青い鳥の訪れに、歓声を上げて走り寄る子供たち。車に飛び込んで、むさぼるように活字を追うあどけない顔つきに、係の人の頬もほころびます。また、車の外では小さい子どもたちに、人形劇や腹話術のサービス。「ひゃー、鬼には弱いんだ。怖いよー。」「怖がっちゃいけないよ。」「ええっ、やあやあ我こそは、わかのまろ(?)なりー。」「違うよ、一寸法師だ。」村仕事から駆け付けたおばあさんも時代小説のファンです。こうして、ひと月に1回の巡回訪問を経て、感謝の瞳に送られながら、青い鳥はまた次の街へ。夢と希望を乗せて山あいに消えていきます。

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