F05黒御簾内部

「楽屋独案内」「惣稽古之図」「囃子方」「脇狂言」
絵師:貞信〈1〉
上演:天保年間以降・大阪(見立) 出版:大坂
資料番号:arcUP0524 所蔵:立命館ARC.

上の図は、惣稽古の図である。総稽古とは、俳優同士が台詞を読みあう「読合」、動きをつけながら行う「立稽古」、音の効果の工夫や段取りをつける「付立」に続く、最終段階の稽古である。明治中頃までは、この総稽古を最後の稽古とし、現在行われている舞台稽古は行っていなかった。
脇狂言については、『大江戸しばゐねんぢうぎゃうじ ワキ狂言』にて紹介した。

右下に、囃子方と書かれ、黒御簾内部が描かれている。三味線を弾いている人や、唄っているようにみえる人が描かれている。また、隅には楽太鼓や、本釣鐘が描かれ、黒御簾の中をうかがい知ることができる。奥の壁あたりの赤い四角には、「立役者 祝儀を出す」と書かれており、役者が囃子方に対して祝儀を渡していたことがわかる。
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【関連項目】
大江戸しばゐねんぢうぎゃうじ ワキ狂言