E3 天狗の面「大べし見」.

能面「大べし見」

所蔵:立命館ARC 所蔵番号:arcMD05-0004.

【解説】
 天狗に用いる能面は、主に「大べし見」である(「べし」の字は、病垂に悪)。結んだ口と小鼻の張った大きな鼻、怒らした眼が特徴的な鬼神面である。
 大ベシミを付けて登場する曲では、本コーナーで取上げた「鞍馬天狗」「大会」の他、「松山天狗」「是界」など。「ぎゅっと大きく結んで、力のみちみちた口のわきが、とくべつに目につくほどの強さを示していたのであり、口を開いた状ではなく、力を内にためて、大きくへの字にへしんだ口もとの様子である。能面〈大ベシミ〉はこの趣を刻んだもので、(中略)てこでも口を開くまいとする頑強な黙秘の意思を示すものだとされている。」(『鬼の研究』)と説明されるが、尊大な表情の中に、実は、「虚勢」が感じられる面でもある。(大).