B2-09-01 仮名手本忠臣蔵 九段目ノ下 大星由良之助 尾上多見蔵

絵師:芳滝
出版:明治7年(1874)
判型:中判錦絵6枚続
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP1117(arcUP1117~22)

 明治7年(1874)5月の大阪・角座の上演に取材した作品。大坂の絵師芳滝が描く中判6枚続絵である。
 九段目・山科閑居の段で、由良之助を侮辱した加古川本蔵(初代実川八百蔵)は、槍を持って立ち向かってきた母・お石(片岡松太郎)をものともせずに蹴倒して組伏せる。本蔵は、敢えて大星力弥(6代目中村駒之助)の名を呼ぶと、力弥が駆け出てお石が落とした槍を拾うやいなや本蔵の脇腹目がけて突きかけた。本図は、本蔵がそれを軽くいなして柄を握った瞬間である。
 この後、自らの右腹に本蔵自身が切っ先を突立てる。左方には、慌てふためく戸無瀬(4代目嵐璃寛)、小浪(2代目尾上多賀之丞)、右方にお石が描かれる。大星由良之助(2代目尾上多見蔵)は、右端の襖の影からこの事態を窺っているが、力弥がとどめを刺そうとするのを「やれ待て力弥、早まるな」と声をかけて現れる。本蔵の足下にあるのは、踏み割った三方の残骸である。.