3.3.2.4.レコード
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作品名:コロムビア邦楽傑作集第六十一輯 長唄 京鹿子娘道成寺(5)
発売:昭和11年(1936)
発売主体:コロムビア
出演:吉住 小三郎(唄)、稀音家 六四郎(三味線)、稀音家 四郎助(三味線) ほか歌舞伎において声や台詞回しは重要な芸の一つであり、近代になると、その声そのものを記録し鑑賞するためのメディアとしてSPレコードが登場した。特に1920年代以降、多くの歌舞伎SPレコードが製作され、観客は劇場へ足を運ばずとも、名優たちの肉声を自宅で聴くことができるようになった。
歌舞伎SPレコードはそのメディア特性上長時間の録音が不可能であったため、芝居の全体ではなく、主に名場面や聴かせどころが収録された。録音は劇場ではなくスタジオで行われ、役者たちは化粧や衣装を付けず、普段着のままマイクの前に立って台詞を吹き込んだ。初期の録音は台詞のみであったが、後には柝の音や下座音楽も加えられ、舞台の雰囲気を伝える工夫がなされた。
こうしたレコードは、物語を楽しむためというよりも、名優の声や芸を後世に残し、その面影を偲ぶためのものとして受け止められた。聴き手はレコードの音声に耳を傾けながら、過去に観た舞台や舞台写真を思い浮かべ、役者の姿や芸を想像していた。江戸時代の声色稽古本が役者の口調をまねて楽しむためのメディアであったとすれば、SPレコードは役者本人の声を保存し、劇場の外で鑑賞することを可能にした新たな音声メディアであった。(戸塚)
【参考画像】
レコード収録風景
作品名:勧進帳 付録冊子
発売:昭和15年(1940)
発売主体:ビクター
