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絵師:国芳
判型:大判/錦絵
上演:嘉永01年(1848) 9月28日 江戸・市村座
外題:当三升四谷聞書(まねてみせますよつやのききがき)
配役:神谷仁右衛門 〈8〉市川 団十郎、お岩小平ぼうこん・佐藤与茂七〈4〉市川 小団次、直助権兵衛〈4〉坂東三津五郎
資料番号:arcUP2983 所蔵:立命館ARC.東海道四谷怪談は、四世鶴屋南北書き下ろし、全五幕で展開される世話物。初演は1825年7月中村座。『仮名手本忠臣蔵』の二番目狂言として上演された。上演法が特殊で、第一日目には「忠臣蔵」大序から六段目までと、二番目狂言として「四谷怪談」三幕目御亡堀の場まで、第二日目には再び「四谷怪談」三幕目御亡堀の場から始め、「忠臣蔵」七段目以下と、「四谷怪談」の四・五幕目、終わりに「忠臣蔵」の討入りを置いた。二日がかりで二つの狂言を並行して上演する趣向をとったのである。時代物である「忠臣蔵」の世界を踏襲しながら、市井下層に生きる庶民・悪党を主人公として描いたこの作品は、生世話狂言の最高傑作として名高い。また、超現実的な現象を取り扱う怪談劇としても有名で、薬を飲んだお岩の変貌や、髪の毛から滴る生血などの仕掛物が、初演時には非常な評判を呼んだ。序幕・第二幕・第三幕に代表される下層階級の生活や心理を生々しく描いた写実性と、幽霊の登場という超現実的な現象が見事に融合している点も、四谷怪談を傑作たらしめている。
≪あらすじ≫
四谷怪談は土台に「忠臣蔵」の高師直側と塩冶判官側の対立があり、その上で伊右衛門とお岩の物語、佐藤與茂七、直助とお袖の物語の二筋で構成される。
【序幕:浅草観世音境内の場・同宅悦住居の場・同裏田圃の場】
主家没落後、塩冶家の浪人民谷伊右衛門は、伊右衛門の悪事を非難し、内縁の妻・お岩との離別を迫る舅の四谷左門を浅草田圃で殺す。同時刻に藤八五文(薬売り)の直助権兵衛は、お岩の妹・お袖に対する恋の遺恨から佐藤与茂七と間違えて、主筋の奥田庄三郎を殺害する。愛する家族の亡骸を発見したお岩・お袖は一家心中を試みるが、伊右衛門・直助の甘言に乗せられる。かたき討ちを約束にお岩は伊右衛門と、お袖は直助とそれぞれ結ばれる。
【二幕目:雑司ヶ谷四ツ谷町の場・伊藤喜兵衛内の場】
傘張り内職をしながら、貧しい浪人暮らしを続ける民谷伊右衛門。対照的に隣家に住む高師直の家中・伊藤喜兵衛は裕福な暮らしぶりである。孫娘・お梅の恋心を知った喜兵衛は、伊右衛門を婿に迎えるため、お岩に血の道の薬と偽り、容貌を醜く変える毒薬を渡す。お岩はそれを飲み、たちまち顔が変わる。お岩に愛想をつかした伊右衛門は、出世と引き換えにお梅との縁談を承諾する。その真実を宅悦から知らされたお岩は恨みに身を焦がしながら死ぬ。お岩の亡骸を発見した伊右衛門は、主君のために「そふきせい」という薬を盗んだ小仏小平を犯人に仕立て上げ、殺害した後、二人の亡骸を戸板の裏表に釘付けにして川に流す。その後、お梅と祝言を挙げるが、お岩、小平の霊に祟られてお梅と喜兵衛を殺してしまう。
【三幕目:砂村隠亡堀の場】
伊右衛門はお梅と喜兵衛を殺した疑いをかけられ、お尋ね者になる。伊藤家は伊右衛門を婿に迎えたことが起因して、残されたお弓(お梅の母)と、乳母のお槙は非人の身分となる。お槙は死霊の祟りで川へ落ち、お弓は伊右衛門によって川へ蹴落とされる。深川にうなぎ掻きにやってきた直助と出会った後、伊右衛門は釣りをする。流れてきた戸板のこもを外すと、お岩の死骸があらわれ恨みを述べる。慌ててひっくり返すと小平の死骸がある。小平の死骸を切りつけ、場面が変わる。
【四幕目:深川三角屋敷の場、寺町孫兵衛内の場】
お袖と直助の住まいに與茂七が訪ねて来て、直助は幽霊が出たと大騒ぎする。そこで直助が奥田庄三郎を殺したことが明かされる。お袖は実は直助の実の妹であったことが明かされ、実の妹と肌を重ねたことから、直助はお袖を殺し、切腹の道を選ぶ。また小仏小平の父、孫兵衛の家で、小平の嫁、お花と息子の次郎吉、孫兵衛の妻のお熊が貧乏生活にあえいでいる描写がありありとなされる。そんな中、小仏小平が亡霊となってさえも、主君である又之丞に服や薬を届け、忠義心に溢れる姿が描かれている。小平の届けた「そふきせい」を飲んで、又之丞は全開し、高師直の仇討ちに赴くこととなる。
【大詰:夢の場・蛇山庵室の場】
伊右衛門はお岩の霊に悩まされ続け、ついには与茂七に討たれる。
(本田)
5.1.四谷怪談とは
