A2-2-2 「恋女房染分手綱」

作品名:「恋女房染分手綱」
絵師:歌川豊国〈3〉
判型:大判錦絵3枚続
出版:嘉永5年(1852)
所蔵:MFA_Boston(MFA-11.43589a)

本作は浄瑠璃「恋女房染分手綱」の一場面。嫁入りを嫌がる由留木家の息女・調姫の機嫌をとるために馬子・自然薯の三吉が道中双六を披露している。この道中双六とは、江戸・日本橋をふり出しにして京都に至る、東海道の各宿を双六にしていおり、江戸時代に普及した。道中双六に代表される「廻り双六」は、さいころの目にしたがって順番に進んでいく双六で、私たちにもなじみ深い絵双六の形式である。「廻り双六」の流行から、やがて「一回休み」のマスが作られたり、サイコロの目に応じて離れたマスに移動する「飛び双六」が生まれたりと、双六は庶民の間で娯楽として発展した。双六は子どもの遊びという印象があるが、子どもには難しい内容を含むものもあり、年長者と子どもが一緒に遊んだものと考えられる。また、色鮮やかな絵双六の多くは、当時の人気絵師らによって描かれ、その美しさから、遊ぶだけでなく観賞する対象ともなっていた。(香川)

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