A2-2-3「百種怪談妖物双六」

作品名:「百種怪談妖物双六」
出版:安政5年(1858)
絵師:芳員
判型:大判錦絵
所蔵:東京都立中央図書館(2456-S002)

次は、する遊戯の一つとして、「化物双六」という双六の一種を紹介する。江戸時代の都市部に暮らす人々は、遊びの対象として妖怪像を作りだしていくようになる。それに伴ってさまざまな妖怪玩具が世の中に誕生してくるが、中でも最も早く見られるのが「絵双六」である。妖怪双六は、絵双六の最初のものとされる「浄土双六」(仏典に説かれたさまざまな世界・十界などを移動し、浄土をめざすゲーム)から派生したものだと思われ、享保のころには既にあらわれていたと考えられる。『百種怪談妖物双六』は、幕末に流行した怪談話「百物語」や絵本「百鬼夜行」にヒントを得て作られた妖怪双六である。そのため、中央下部の「ふり出し」の部分を見ると子どもたちが一話ごとに油皿の火を弱くする「百物語」を楽しむ場面から始めている。主に鳥山石燕の『画図百鬼夜行』を参考にした25種類の妖怪たちが描かれており、Bカテゴリで詳しく紹介している妖怪たちも多数いる。そして中央上部の「上がり」の部分には「古御所の妖猫」が描かれており、百物語の火が消えると妖怪が出るという場面を表現している。(池田)

参考文献
香川雅信『江戸の妖怪革命』、河出書房新社、2005年
公文教育研究会『百種怪談妖物双六』「くもん子ども浮世絵ミュージアム」(参照2021-03-27)

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