A2-4-2 「かるたとり」「夢見る姫君」
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作品名:「かるたとり」「夢見る姫君」
絵師:歌川豊国
判型:大判錦絵3枚続
出版:寛政年間(1800)
所蔵: MFA_Boston(MFA-21.7801-3)作品名は日本語で『かるたとり』『夢見る姫君』であるが、所蔵先のボストン美術館では『A Lucky New Year Dream of a Mouse Wedding』(鼠の嫁入りの初夢)と呼ばれている。作品中央の豪奢な髪飾りと着物を着ていることから姫君と思われる女性が、ねずみの嫁入りの夢を見ている様子がふきだしを用いて表現されており、これに由来すると思われる。「鼠の嫁入り」とはわが国では古く鎌倉時代の仏教説話集『沙石集』にみえる寓話であり、一説ではねずみは大晦日の夜に嫁入りをし、新年に大黒様の使者として福をもたらすものとして新年の版画に好んで描かれるものとされている。また、作品左側から中央にまたがって女性たちがカルタ取りをしている様子が伺える。かるたが表向きで無造作に散らばっていることや、それを取ろうと構えている女性、読み手の存在から源氏カルタか百人一首かるたのような遊び方をしていると推測される。(香川)