A2-4-1 かるたとり

作品名:「千代田の大奥」「かるた 」
絵師:周延
判型:大判錦絵3枚続
出版:明治28年(1895)
所蔵:国会国立図書館(NDL-668-00-013)

本作は橋下周延(揚州周延)による江戸城での大奥年中行事や奥女中たちの生活を描いた揃物「千代田の大奥」の「かるた 」である。東京日本橋の絵草紙屋、具足屋から明治27年から29年にかけて40点が発行された。当時流行していたかるた遊びは、天正かるた、うんすんかるた、源氏かるた、歌かるたなど様々な種類、遊び方があるが、中央の女性の前に文字の書かれた札が並べてあり、後方の白髪の女性が読み札を読んでいることから歌かるたと推測される。天正かるたやうんすんかるた が天正時代にポルトガルより伝わった一方で、日本には平安時代より「貝合わせ」という遊戯があった。これは左右の貝片に和歌の上の句と下の句を分けて書いた歌貝を合わせて取るもので、ここから小倉百人一首かるたのような歌かるたが考案されたのである。歌かるたは遊戯として楽しまれた反面、貴人が古歌の教養を嗜むものでもあったため、上流階級で発展してきた。本作のように大奥での風景が描かれているのもそのためである。なお、タイトルの「千代田の大奥」は江戸城の別名が千代田城であることに由来する。(香川)

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