B2-6 橋姫
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作品名:『今昔続百鬼』巻二
作者: 鳥山石燕
書型:半紙本巻冊3巻1冊
出版: 安永8年 (1779)
所蔵: The British Museum (BM-JIB0147)橋姫は橋を守る鬼女、または女神である。嫉妬深い鬼神として描かれる場合が多い。
橋姫は京都府宇治川の宇治橋、大阪市淀川市の長柄橋や滋賀県瀬田川の瀬田の唐橋などの橋に残る伝説が有名だが、本作品は、画中に橋姫の社は山城の国宇治橋にありという文があるため、宇治の橋姫を描いたものではないかと推測できる。橋に神をまつるようになった理由は、境としての橋に外部から侵入する邪悪な神霊などを防ぐためであり、もとは道祖神と同様に、男女二神をまつったものとされる。それが男女であったために安産や小児の健康を祈る神ともされ、母子神信仰のような形態の伝説が生まれ、一方で神の威力を意味したネタミが、嫉妬の意味に限定され、嫉妬深い鬼女の伝説ともなったとされる。また、長柄の橋姫には、橋を造る時の人柱ひとばしらを橋姫としてまつったという伝説もあるが、これらの伝説は水辺の祭りをつかさどった巫女たちによって管理され伝播されたのではないかと考えられている。(榎並)参考文献
『はしひめ【橋姫】』、日本人名大辞典 、JapanKnowledge, https://japanknowledge.com
乾克己『日本伝奇伝説大事典』、角川書店、1986年