「双六遊び」 - 盤双六

作品名:「双六遊び」
出版:明和4(1767)~5年(1765)
絵師:鈴木春信
判型:不明
所蔵:MFA Boston(MFA-21.4624

囲碁双六は四十五逆の悪事、という故事がある。囲碁や双六のような大人が夢中になる遊びは殺人や盗みと同等の罪である、という意味である。このことから分るとおり双六は犯罪扱いされるほどの博打の代名詞であった。
右の図は鈴木春信による美人画である。本作品の人物たちが行っている遊びは盤双六という。絵双六との違いや、詳しい起源については、下の参照記事で確認できる。
盤双六は、貴族の嗜みの1つとして認識されており、庶民の間にはあまり浸透しなかった時期もあった。しかし、時代も下り、江戸期になると盤双六で遊ぶ庶民の姿も描かれるようになる。なお、かるた遊び同様、強い賭博性があったことから、持統3(689)年12月には「双六禁止令」が出されたことが『日本書紀』に記されるなど、古来からたびたび禁止令が出されていた。そして江戸期にも行われた度重なる禁制によってついに衰退し、絵双六に双六としての地位をと完全に取って代わられる。
賽をふるう遊戯として、四一半も賭博として人気であり、盤双六とともに「さいころ」は人を惹きつける魅力があるようだ。(内田)

参考文献
河合敦『図解江戸の遊び事典』、学習研究社、2008年
増川宏一『盤上遊戯の世界史』、平凡社、2010年
『賭博』、日本大百科全書(ニッポニカ)、JapanKnowledge, https://japanknowledge.com(参照 2021-01-14)
『さいころ』、日本大百科全書(ニッポニカ)、JapanKnowledge, https://japanknowledge.com(参照 2021-01-14)
『囲碁双六は四重五逆の悪事』、故事俗信ことわざ大辞典、JapanKnowledge, https://japanknowledge.com(参照 2021-01-14)

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