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書名:『北斎漫画(題簽)十二編』
作者:葛飾北斎
書型:半紙本1巻1冊
出版: 天保5年 (1834)
所蔵:Ebi(個人)(Ebi0446)鉄板妖怪の1人として、次は『ろくろ首』を紹介する。元来は東南アジアの妖怪であったらしく、ルーツの一つとして中国には飛頭蛮(ひとうばん)という妖怪の伝承が多く残っている。
近世の随筆類によると、飛頭蛮は、体から首が離れ飛んでいく妖怪である。うなじに赤い筋があることをのぞくと普通の人間と変わらないが、大体は夜寝ている間に首が体から離れ、飛び回る。耳を翼のように使って飛ぶものがいたり、虫を食べるようなものもいる。
飛頭蛮がどのような経緯で首が伸びるとされたのかは明らかでないが、心の緩んだときに伸びるとか、食や水を求めるために伸びるのだとか、両者とも本人は寝ているために自覚が無いという点で共通しており、これを「魂が抜けているため」であるとし、離魂病という幽体離脱に似た現象と説明する向きもある。
主として成人したばかりの娘や女中とされているが、本作品では、年老いた女のろくろ首も描かれている。また、キセルをくわえた粋な姿で描かれている。吐き出す煙は「そもじ(=あなた)」となっており、恋人のことを考えているのだろうか。(池田)参考文献
怪異・妖怪伝承データベース,「異界の杜 第十二回ろくろ首」,国際日本文化研究センター,(参照 2020-12-13)
国際日本文化研究センター | 怪異・妖怪伝承データベース (nichibun.ac.jp)
"ろくろ首", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge,https://japanknowledge.com , (参照 2020-12-13)
荒俣宏の妖怪伏魔殿2020「飛頭蛮(ろくろ首)」解説文
『別冊太陽 日本のこころ 妖怪図譜 江戸の化物大集合』,安村敏信監修,平凡社,2014年
『日本怪異妖怪大事典』,小松和彦[ほか]編集委員,東京堂出版,2013年
B1-2 轆轤首【ろくろくび】