H5 九代目団十郎の娘道成寺.

作品名:「三升合姿」「白拍子花子」
出版:明治26年(1893) 東京 佐々木豊吉
絵師:右田年英
判型:大判錦絵
所蔵:立命館ARC(arcUP8223).

このシリーズには目録がついているが、その目録の中にはこの白拍子の名前は入っていない。名前があがっている他のものと差し替えられたか、この白拍子が追加されたかである。

このシリーズの名前は「三升合姿」とある。三升とは市川団十郎の家紋で、合姿とは「格子」をもじったものと考えられる。出版年を踏まえると、この作品群は9代目市川団十郎をそれぞれの演目の姿で描いたものと思われる。

これが出版されるまでに団十郎が白拍子を演じたことが確認できたのは明治23年(1890)の「道成寺」のみ。これが理由であるかどうかは定かではないが、目録の時点では描くと決まっていなかったこの演目を描くほどの魅力が、9代目団十郎の白拍子にあったのではないだろうか。(堀)

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