H4 鐘に恨みは.

作品名:「道成寺」
出版:明治9年(1876)頃 東京
絵師:豊原国周
判型:大判錦絵
所蔵:立命館ARC(shiUY0001).

描かれている白拍子は4代中村芝翫、所化は初代中村児太郎(後の5代中村歌右衛門)である。この二人がこの時期「道成寺」で共演していないため見立絵と思われる。

作品の右上に描かれている綱は釣鐘を釣るための綱である。作品の中に釣鐘は描かれていないが、綱と白拍子の視線によりその先に釣鐘があることを示している。「道成寺」で見せる白拍子の釣鐘に対する思いをうまく描いた作品といえる(堀)