A3 車引の役柄.

作品名:「舎人松王丸」「舎人梅王丸」 「藤原時平」「舎人桜丸」
上演:安政4年(1857)9月 江戸・市村 「菅原伝授手習鑑」
絵師:歌川豊国〈3〉
判型:大判錦絵 3枚続
所蔵:立命館ARC(arcUP1704~arcUP1706).

一番左に四代目市川小団次が演じている舎人松王丸が、中央上部の牛車に乗っているのが二代目朝尾与六演じる藤原時平、その下に一代目河原崎権十郎演じる梅王丸、その左に五代目坂東彦三郎演じる桜丸が描かれている。これは背景が街並みや図柄ではなく黒一色で染められていて、描かれる人物の華やかさがより目立つものとなっている。松王丸のみが衣装の上に白張をかけ、白晒しの麻袋をかぶせた大きな参内傘を肩に担いでいる。この松王丸にはほかにも特徴があり、梅王丸と同じ「三本太刀」である。松王丸はは二本差しであるのが通例であるが、市川家の役者や、親しい間柄の役者が演じる場合のみ、三本差しとなり、この松王丸は先ほども述べたように四代目市川小団次が演じているため三本差しとなっている。(濵田)

【参考】
題名:菅原伝授手習鑑
編著者:林京平
発行:1998年5月30日
発行所:株式会社 白水社 

題名:芝居絵に見る 江戸・明治の歌舞伎
編著者:早稲田大学演劇博物館
発行:2003年7月20日
発行所:株式会社 小学館