A4 車引の衣裳と隈取.

作品名:「歌舞伎座十月狂言」
上演: 明治33年(1900) 10月 東京・歌舞伎「菅原伝授手習鑑」
絵師:歌川芳機
判型:大判錦絵 3枚続
所蔵:立命館ARC(arcUP7377~7379).

青い隈取の藤原時平は四代目尾上松助が演じる。時平に仕える画面中央の松王丸は四代目市川染五郎が、その松王丸に挑みかかろうとせんばかりに描かれた右側の市村家橘演じる丞相方梅王丸は血気盛んな性格で顔や腕に血管の筋が浮かび上がっている。一方その反対に描かれる五代目尾上栄三郎が演じる丞相方の桜丸は柔らかな性格でそれが表情にもよく表れている。この場面で松王丸と梅王丸、桜丸は対立しているが、三人は三つ子の兄弟であり、その証拠に三人は名前にちなんだ文様の襦袢と揃いの童子格子の着付を身に着けているが、桜丸や梅王丸が赤襦袢を着ているのに対し、松王丸は違い、白襦袢を着ているのが特徴である。(濵田)

【参考】
題名:菅原伝授手習鑑
編著者:林京平
発行:1998年5月30日
発行所:株式会社 白水社 

題名:演目別 歌舞伎の衣装
編著者:丸山伸彦
発行:2014年3月15日
発行所:株式会社 東京美術

題名:芝居絵に見る 江戸・明治の歌舞伎
編著者:早稲田大学演劇博物館
発行:2003年7月20日
発行所:株式会社 小学館