A5 天神記の戯画.
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作品名:「道戯茶番天神記」
出版:元治元年(1864)8月 江戸・古賀屋勝五郎
絵師:歌川芳盛
判型:大判錦絵 3枚続
所蔵:立命館ARC(arcUP7639~7641).これは道戯茶番天神記という戯画である。賀茂堤の場、伝授の場、裏門の場、八声の場、車引の場、賀の祝の場、寺子屋の場など菅原伝授手習鑑の場面が様々描かれており、右側から左側へ物語は進んでいく。画面中央下部にあるのが車引きの間である。牛車の轅を振りかざすのは梅王丸、銃のように構えているのは桜丸、背を向け慌てて逃げようとしているのが松王丸、牛車の上で驚き慌てふためいているのが時平である。歌舞伎などでは血気盛ん、勇猛果敢に描かれる松王丸が逃げ出そうとしているのに対し、桜丸と梅王丸が好戦的であり、性格が逆転して描かれている。また、時平は通例、赤い舌をぐっと出して恐ろしい形相で見得を切り威嚇するのが通例であるが、この戯画での時平は大口を開けて慌てふためいているため見得どころではない様子である。また髭も大げさに描かれており、顔回り全体が髭で囲まれているのがこの絵の特徴である。(濵田)
【参考】題名:菅原伝授手習鑑編著者:林京平
発行:1998年5月30日発行所:株式会社 白水社
題名:芝居絵に見る 江戸・明治の歌舞伎
編著者:早稲田大学演劇博物館
発行:2003年7月20日
発行所:株式会社 小学館
題名:国立文楽劇場上演資料集・22 文楽・菅原伝授手習鑑編著者:国立文楽劇場調査養成課調査資料係発行:1989年4月3日
発行所:国立劇場