F2 戸板返し.

作品名:「佐藤与茂七」「直助権兵衛」「神谷仁右衛門」「お岩小平ぼうこん」
上演:嘉永元年(1862) 9月 江戸・市村「当三升四谷聞書
絵師:歌川国芳
判型:大判錦絵 2枚続
所蔵:立命館ARC(arcUP2983~2984).

伊右エ門がお岩の幽霊をみて驚き、戸板をひっくり返すと小平の幽霊が現れるという場面。早替りを用いて一人の役者がお岩と小平を演じられる。お岩、小平だけでなく与茂七も同じ役者が演じることがあった。お岩から小平に早替りした後、小平が骸骨に変化するという演出もある。この絵はその骸骨に変化する手前である。

戸板の表と裏に幽霊がいるという演出にはもちろんその前にそこに縛り付けられたからというのもあるが、この四谷怪談が二人の幽霊による物語であるというのが理由であろう。お岩と小平の二人を主軸とした怪談物語で構成されている四谷怪談という物語全体を表現したのがこの戸板返しの場面といえよう(堀)

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