歌川国芳
「燿武八景」 「堀川晴嵐」「江田源蔵」
ボストン美術館蔵
江田源三は、『義経記』の堀川夜討の場で、京極から駆け付け、土佐坊の矢に射られ義経の膝元で25歳の命を落とした義経の家臣である。しかし、本図の源蔵の装束には鶴の丸が大きく描かれかれており、欄干に片足をかけ、鎗をした突きにする姿は、明らかに本能寺の変で命を落とした森蘭丸の姿である。堀川夜討の図であれば、幔幕の紋は源氏の笹竜胆でなければならないが、本図では、笹竜胆を織田の「五瓜に唐花紋」の形に擬している。『国芳の武者絵』(稲垣進一・悳俊彦著、東京書籍、2013)P115にある本図の解説は誤りである。