No.26


No.26A  賞奇軒墨竹譜(しょうきけんぼくちくふ)
奈良大学博物館所蔵(T0785)
丁付:二十九・三十・三十一・三十二
横76.2×縦21.5×厚1.8cm

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No.26B  賞奇軒墨竹譜(しょうきけんぼくちくふ)
奈良大学博物館所蔵(T0600)
丁付:三十三・三十四・三十五・三十六
横87.5×縦25×厚0.9cm

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No.26C  賞奇軒墨竹譜(しょうきけんぼくちくふ)
個人所蔵
宝暦10年(1760)  大本1冊  

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展示品は、池大雅(いけのたいが)の生前に刊行された画譜(がふ)のうち、大雅が直接関与した唯一の作品と目される資料。真偽は未詳ながら、高葛陂(こうかっぱ)の序文は大雅自らが版木を彫ったと伝える。研究界においては「幻の画本」とも言われてきたが、今回の調査で、版木全12枚の現存を確認できた。『竹苞楼大秘録』によれば、当初は佐々木惣四郎と柏屋宗七(かしわやそうしち)との相版で刊行する予定だったが、その内容の一部が先に刊行された『八種画譜(はっしゅがふ)』と重なることを問題視され、佐々木惣四郎所蔵分の版木1枚(三十三~三十六丁)を留板(とめいた)として『八種画譜』の版元玉屋喜兵衛(たまやきへえ)に預けることとなった。その後、その1枚は『八種画譜』の版権移動とともに何軒かの版元を渡り歩き、ついに大正頃、行方不明となった(『蔵板員数』)。展示品No.26Aは初版当初から使われる版木、No.26Bは行方不明となったことを受けて大正5年(1916)に新たに彫り直した版木。No.26Bの板は極めて薄く、その様式から、比較的古い版木を再利用したことが分かる。No.26Cは近刊予告を削り、扉に袋を流用した後摺本。