会期:2009年2月16日(月)~3月6日(金)
※本展覧会の会期は終了しました。
※土・日・祝祭日は休室
※2月28日(土)、3月1日(日)は開室
会場:立命館大学アート・リサーチセンター1F展示室
主催:立命館大学グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」
立命館大学アート・リサーチセンター
企画:日本文化研究班「日本版画・版本の美」プロジェクト
協力:奈良大学博物館、奈良大学図書館、竹苞書楼、藤井文政堂、佐藤木版画工房
日時:2009年3月4日(水) 16:20~17:50
タイトル「板木は語る(続)」
講師:永井一彰氏(奈良大学文学部教授)
会場:立命館大学アート・リサーチセンター多目的ルーム
※聴講無料
・展示品の画像や解説文を閲覧された後、再利用 される場合には、 かならず
各所蔵機関や主催機関が定める利用規程に従ってください。
・不正な利用があった場合は、相応の措置をとらせていただきます。
今回その整版印刷と流通を支える根本の装置としての板木に注目したのは、版木研究を10 年来続けてこられた永井一彰氏から、奈良大学が所蔵する大量の版木の「デジタル・アーカイブ」をご提案いただいたのが切っ掛けです。これこそまさにデジタル・ヒューマニティーズならではの研究対象であると考え、二〇〇七年から共同研究を始めました。版木は、版本の背後にその存在することは誰もが意識していましたが、原物の扱いづらさから、十分に活用されてこなかった貴重な文化財です。版木の彫摺技術はすでに失われてしまったと言ってよく、工芸・美術品の域に達していると言っても過言ではありません。今回、私どもが実施したデジタル・アーカイブでは、原物を持出さなくても研究可能な高精度な画像と情報を蓄積し、取扱いの障害を取り除くことに成功しました。このデジタル・アーカイブを活用し、今後、失われた整版技術やノウハウを探っていくことは、私たちに課された重要な課題です。
こうした研究状況を公開することも目的ですが、本展覧会では、「版木」と何かを原物により紹介し、「版木」から何が分かるのか問うことをよい大きな目標としました。ここに出展した版木は自ずから京都の版木が中心となります。デジタル複製物では伝わらない、微妙な工芸技術や迫力を体感していただきたいと思います。またデジタル画像による版木閲覧システム、3D による形状分析結果や触覚提示システムを併置することにより、デジタルの位置はどこにあるのかを考える切っ掛けにしていただければ有難く存じます。
最後になりましたが、本展覧会を実施するにあたり、全面的なご協力をいただきました永井一彰氏、ならびに奈良大学、竹苞書楼、ほか関係諸機関に深甚の謝意を表します。
2009年2月16日
立命館大学グローバルCOE プログラム
「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」
「版本と版画の美プロジェクト」一同
No.01B 家相図説大全(かそうずせつたいぜん)
立命館ARC所蔵(arcMD01-0003)
享和3年(1803)巻:上 丁付:一・二・九・十
横72.9×縦18.5×厚1.8cm (半紙本)
No.01C 反り止め 各種
奈良大学博物館所蔵
No.01参考 新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)
奈良大学博物館所蔵(T2238)
寛政6年(1794) 巻:十一 丁付:二・三
横25.6×縦7.9×厚1.8 cm (豆本)
No.02B 帰家日記(きかにっき)
奈良大学博物館所蔵(T0754)
正徳5年(1716) 巻:上 丁付:一・四・二・三
横71.6×縦18.4×厚1.9cm(半紙本)
No.06B 装束指掌図(しょうぞくししょうず)
奈良大学博物館所蔵(T1912)
享保元年(1716)
横47×縦12.5×厚1.5cm
No.07B 茶経詳説(ちゃきょうしょうせつ)
奈良大学博物館所蔵(T1319)
安永3年(1774) 丁付:(袋・題簽)・(未刻)
横27.8×縦20×厚1.8cm(大本)
No.07C 銕荘茶譜(てっそうちゃふ)・英国三軍内則(えいこくさんぐんないそく)
奈良大学博物館所蔵(T1248)
丁付:(袋・題簽)
銕荘茶譜:(豆本) 慶応3年(1867)
英国三軍内則:(小本) 慶応頃(1865~1868)
横36.1×縦21.1×厚1.5cm
No.08B 花競二巻噺(はなくらべにかんばなし) 奈良大学所蔵(T2344b)
文化11年(1814) 丁付:[ ]
横14.3×縦16.4×厚1.8cm(中本)
No.08C 暢寄帖(ちょうきじょう) 奈良大学所蔵(T1195)
明治2年(1869) 巻:(袋)・三 丁付:(袋)・卅七止
横44.4×縦28×厚2.5cm(大本の縦長本)
No.09B 奇文欣賞(きぶんきんしょう)看板
奈良大学博物館所蔵(T2383)
明治元年(1868)
横18.9×縦85.7×厚1.3cm
No.09C 奇文欣賞(きぶんきんしょう) 永井一彰氏所蔵
明治元年(1868) 中本4冊
【摺師の道具】
馬連
馬連は当皮の中に芯を円形に編んで竹皮で包んだもので、摺師自らが作る。絵の具を付けた版木の上に和紙を置き、その上から馬連でこすり、和紙に色を移す。 馬連の芯 竹の皮を細く裂いて縄を綯い、さらに編み込んだものを芯として用いる。芯を円形に巻いた上で、円が崩れないように数ヶ所を糸で留める。芯の太さによって馬連にかかる圧力の強さが変わるため、用途によって使い分けられる。芯の細いものは主に墨版に用いられ、太いものは色版や摺の面積が大きい場合に用いられる。
当皮(あてがわ)
和紙の目を違えつつ40~50枚重ねたもの。明治摺の版本の和紙が最も適しているとされる。
刷毛(はけ)
版木に墨や絵の具を塗る際に用いる。刷毛には柄のついたものと、ブラシ型のものがあるが、明治以降はブラシが主流となっている。
見当鑿(けんとうのみ)
摺の段階で版木の修正が必要な場合は摺師が調整を行う。見当がずれている場合は、丸鑿 見当鑿で正しい位置に見当を彫直す。また、版の一部に欠損があったり、さらいが十分でなかったりした場合も摺師が鑿などで修正する。