No.25


No.25A  太平楽府(たいへいがふ)(正規版)
奈良大学博物館所蔵(T1846)
巻:一  丁付:一・四・二・三
横53.1×縦13.8×厚1.8cm

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No.25B  太平楽府(たいへいがふ)(海賊版)
奈良大学博物館所蔵(T1055)
巻:一  丁付:一・二・三・四
横45.6×縦15×厚2cm

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No.25C  太平楽府(たいへいがふ)(正規版)
奈良大学博物館所蔵(T1063)
巻:三・(跋)  丁付:十七・十八・(跋)一・(跋)二
横53×縦14×厚2cm

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No.25D  太平楽府(たいへいがふ)(海賊版)
奈良大学博物館所蔵(T1056)
巻:三・(跋)  丁付:十七・十八・(跋)一・(跋)二
横46×縦14.9×厚1.9cm

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No.25E  太平楽府(たいへいがふ)(正規版)  奈良大学所蔵
明和8年(1771)  中本1冊  

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No.25F  太平楽府(たいへいがふ)(海賊版)  奈良大学所蔵
明和8年(1771)  中本1冊

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版木は通常1組あれば用が足りるが、展示品は2組が現存する唯一の事例。佐々木惣四郎が刊行した『太平楽府』は、通俗な内容を扱い滑稽諷刺を楽しむ漢詩文を集めた「狂詩集(きょうししゅう)」の嚆矢(こうし)でベストセラーとなり、初版から約2年後の明和8年には版木が再刻された。No.25AとNo.25Cはその時の版木。その好調な売れ行きから、同年冬には田中屋半兵衛(たなかやはんべえ)が海賊版を刊行した。No.25Bと25Dは海賊版の版木。『竹苞楼大秘録』によれば、海賊版の出現に困惑した佐々木惣四郎は田中屋と和談、お互いの版木を部分的に持ち合うことで示談した。田中屋が死去した際に跡継ぎがおらず、田中屋が所有する『太平楽府』の版木を佐々木惣四郎が引き取ったことも記録されており、結果2種の版木が現在まで伝わったようである。No.25Eは正規版の版本、No.25Fは海賊版の版本。いずれも初版本に拠りつつ細部を修正しようとしているが、No.25Fは海賊版らしく、ルビなどの誤脱が多く見られる。