No.10


No.10  摺の道具  各種
佐藤木版画工房所蔵

【彫師の道具】
小刀
 文字や画線を彫る際に用いる刀。大きさは様々あり、頭などの細かい部分や胴などの部分を彫り分ける。
相透(あいすき)
 文字や画線の周りの小さな部分をさらう(削り取る)ために用いるもの。特に細い相透はミシン針などを利用して彫師自らが作ることもある。
鑿(のみ)
  相透で小さい部分をさらった後、さらに広い部分をさらう時に用いる。鑿には刀身が平らなものと丸いものがある。平らなものは広くさらうことが出来るのに対し、丸鑿は幅が狭いため比較的さらう面積は狭いが深くさらうことが出来る。
槌(つち)
  鑿で広い部分をさらう時に用いる道具。長く使い続けることで木槌が手になじみ、使いやすい道具となる。

【摺師の道具】
馬連
   馬連は当皮の中に芯を円形に編んで竹皮で包んだもので、摺師自らが作る。絵の具を付けた版木の上に和紙を置き、その上から馬連でこすり、和紙に色を移す。 馬連の芯 竹の皮を細く裂いて縄を綯い、さらに編み込んだものを芯として用いる。芯を円形に巻いた上で、円が崩れないように数ヶ所を糸で留める。芯の太さによって馬連にかかる圧力の強さが変わるため、用途によって使い分けられる。芯の細いものは主に墨版に用いられ、太いものは色版や摺の面積が大きい場合に用いられる。
当皮(あてがわ)
   和紙の目を違えつつ40~50枚重ねたもの。明治摺の版本の和紙が最も適しているとされる。
刷毛(はけ)
  版木に墨や絵の具を塗る際に用いる。刷毛には柄のついたものと、ブラシ型のものがあるが、明治以降はブラシが主流となっている。
見当鑿(けんとうのみ)
  摺の段階で版木の修正が必要な場合は摺師が調整を行う。見当がずれている場合は、丸鑿 見当鑿で正しい位置に見当を彫直す。また、版の一部に欠損があったり、さらいが十分でなかったりした場合も摺師が鑿などで修正する。